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長崎西高14回生同窓会トピックス

『花の青春』とらんぽりん 33

歩きながらの「携帯電話」で、危ないなー、と思う最たる場面は、幼児を連れたお母さんが自分の通信世界 に夢中、で、肝心の幼児は先走って……文字通り「先に走って」それが、幼児は嬉しくてたまらない。

どうして、子ども特に男の子は路上に出るとゆっくり歩かないで、走りまくってはしゃぐのでしょうか。
まず6割は先走りしている。もっとも、2〜3歳の児が泰然と散歩的に道を歩いているなどは不気味です。
そういうのは、迷子になって不安な時か、アイスクリームや菓子でもかじって歩いているくらいの時。
対して、女の子はなぜかいつもお母さんの腰の周りについて歩いている。あるいは、年の近い姉妹兄弟か仲 良し子ども同志で、じゃれあって、ちょコッと走り廻るくらい。
こういう疑問は、小児科の先生か、類人猿の専門の人に聞いてみたらいいのかも。もっとも、その答がもし 「仔猫や小犬をみていると分かるように」人間もそれと同じです、と説明されたら、つまらないなー。これ を九州弁で「ガッパイした」という。聞くかなきゃ良かった、というようなもんでしょう。

先日もこんな事がありました。
せっせと先走りして、後方から近づく男の児がある。いよいよ近づいてきた。ので「コンニチワ」と声をか けたら、その児が、喜んじゃって! まぁ大喜び。
自分の母親を振り返るヒマもあらばこそ、ずんずん、チャパチャパ足音を立て、そのまま私の後方をつかず 離れずついてくる。つかず離れず…は、私も歩いているから、両者の適度な距離が縮まらない様子のこと。
その母親は、づっと向こうの離れたところをゆっくり歩いて、携帯電話に夢中。イイノカナ?そんな状態で。
それで、適当に坊やと歩調を合せていました。
いいヨ、可愛いし、嬉しいし、楽しいし。しかし、しかし、です。その状況には携帯・母がいつまでも気付 かない。ばかりか時々立ち止まってはさらに熱心に、携帯の相手をしている。
そのうち、ちょっと待てよ。私はもうすぐ次の角で道を曲がらなきゃいけない。この状態この先どうする。
「オーイお母さん」と携帯・母に大声をかけ注意する最終手段はあるにせよ、ちょっと待てよ…。
このままでいいの?坊やの母さん。
それでは余りに不用心・無責任に過ぎるのではないか、若き育児ママよ。と心配になってきたのです。狭い 住宅地の中。車は一方通行制限があるとはいえ、それでも車も自転車もひょいと、よく通ります。

別のある時にはこんな場面が……。
狭い通りからやや広い道に出たところ角のところで、またまた2〜3歳の坊やがヒョッと飛び出して来た。
ホント嬉しそうに、楽しそうに全力疾走でです。子ども好きの私は心もニコニコして、その坊やがこちらへ 近付いて来るのを待ちつつも、全体の様子では気をつけていたら、なんとずっとその向こうで、同じく道の 角からやや広い道に出てきた母親らしい人が、ポイと背を向け、反対の方角に曲がって行ってしまった。
えっ。やっぱり携帯を持って、そればかりを覗き込んで歩いている。

初めは、私と50mくらい離れていた坊やが、そのままどんどんこちらへ20〜10mと走って近づいてき ています。こちらは駅前商店に向かう。そのお母さんらしき人が反対方向に曲がった先には郵便局がある。
多分ポストに用でもあるのか。しかし、しかーし、このままではどうなるのだろう。
こちらは小型車ながら頻繁に通り、大人もみんな電柱寄りに身を細めて歩く、いっそうの「危ない」道なの です。車は急に止まれない、以上に、子どもは突然、急回転をして、あらぬ方向に突進するものです。
暫く見ていると、その後、さすがに坊やが振り返って「オヤッ」という顔をした。
こういう時は、他人が口出しはしない方がいい。そのうち、携帯お母さんもヒヤリとして身辺を見回し、坊 やの姿がないのに、少しは焦ることでしょう。
その点は日本は安心で、後は周囲の皆さんに事態のおまかせにして、私も先を急ぎました。

今度は逆。お母さんが「先走って」の珍しい場面です。この場合はケッサクでした。

ある小十字路。駅に近く、コンビニあり・小食堂あり・肉屋あり・シャッターの降りたそば屋ありで、せせ こましい限りです。道幅は4〜5m。ここに交通信号機を取り付けたら余計に混乱が起きること明々白々の、 この狭い人通り。そのせわしない十字路に、宅配業者などの小型車と歩行者が、ひっきりなしにタテヨコ常 に複雑に行き交って、お互い少しも気が抜け増せん。もともと狭い住宅地が突然、再開発で賑やかになった、 しかし交差する道路の幅は猫の額の元のままで、私有地が依然としてせめぎあっている。時代の形見、変な 生け垣だけは、そのまま残り「絶対に地権は渡さないぞ」と植物ながら土地主の身代わりで排ガスを受けて います。痛々しい。風流なのか、無粋なのか。ただ冬場に山茶花等が赤い花をつけると、いいものです。

そこで、その頃私はまだ足の怪我が完治しない時期で、自足(時速)100m、慎重に慎重にソロリそろり と道を歩く日常でした。ある日、ちょうどその風流無粋の生け垣の側にきました。
さて、どういう風にこの狭い交差点をわたろうか、急がない・焦らない・人を押し分けない・となかなかに 人格陶冶のためには、怪我体験もいいものですが。右見て、左見て、前見て、後ろ見て…悠然。
そんな時でも小型車は10秒と待たず、タテ横に行き交うのです。さっき見た左ちはもう次の車影が……と。

いきなりその時、後ろ横から、生け垣も凹(へこ)むかとばかり、慌ただしい猛烈ダッシュで、女性が一人、 私の横をすり抜けていきました。江戸時代なら「バカヤロウ、アブネージャないか、気をツケロイ」と短気 な江戸っ子が叫びそうな、突然按配です。続いてすぐその後を走りながら追いかけて、小学3年位の女の子 が、何か大声で叫びました。
叫んで曰く。

『お母さーん! デクノボウ ってなーに。』

お母さんはダッシュしながらも、大声で即答しました。いわく…

『立ってボーッとしているヒトッ』

あまりに一瞬の出来事で、私は、自分の目と頭の中が空中3回転。
この見事なお母さんのその即答に、感動してしまいほとんど呆然。なんという名答であろう。
ボーッと立っている人では、ないのです。デクノボウは、立ってボーッとしている人、なのです。
実に、うまい。
自ら駆け足の一瞬にも、この的確な返答をしたお母さんに、私は、舌を巻きました。ウーム゛見事。

考えても見よ、いきなりそんな場面「お母さん、どうしたら、東大に一発で入れる」、なんて走りながら問 われたら、普通なら「今急にそんな事聞かれても」とか、「家に帰ってから」というくらいの返答が関の山 なのでは。あるいは逆に即座に「アンタが生まれ変わるしかないのッ」なんてしゃれた返事が瞬間的に出た なら、それはほとんど、禅体験の修行者も同然です。
咄嗟(とっさ)の機転は、常日頃の沈着・冷静の心胆の鍛えがなくては、なかなかに外に表れないもので、 おぬし、出来るな、には、ならない。−−どうも、最近ロクなテレビ番組がなくて古い時代劇ばっかり見てい たら、言葉感覚まで古くなってしまった。如何したものか。

考えたら、その場所は小さな金融機関のすぐ近くで、午後3時直前。だから、お母さんは猪突の勢いでそこ に飛び込んだに違いない。その間にも、私はたった今の珍問と名答のやりとりにひたすら感心して、まだボ ーッとしておりました。それはいいけれど、さらに暫くして、ちょっと待てよ、それってまさか私の事では ないのだろうネ。立ってボーッとしている、その上、まだ同じ場所に立っている。 わっはっはっは。
お嬢さんは、追い駆け走りの瞬間にも、そこにボウと立っているオバサンに、エイ邪魔だと直感したのかも。 挙措・動作・ロケーション、考えれば考えるほど、条件がそこにピッタリ嵌まって、私、妙な感じ!
これでは、携帯夢中の育児ママと大して変わらない。

………この機会に、気になって広辞苑で「デクノボウ」を引いて見ました。
『木偶坊』−−@人形。でく、くぐつA役にたたない人、または機転がきかない人をののしっていう語。

ですって、ヘェー、木偶(でく)のぼうのボウは「坊」だったのか、長い間、木偶の「棒」だとばかり思いこ んでいたですが。
因みに、その言葉のすぐ隣りが『テクノクラート』。
−−−@高度の科学的知識や専門的技術を持って社会組織の管理・運営にたずさわり、意志決定と行政的 執行に権力を行使する技術官僚−−−−

とあります。ん、どこかで聞いたような条件が並んでいるなー。

手元では古い広辞苑を使い続けているので、最新版ではどういう説明なのかわかりませんが、本書による 解説では、節高度の〜〜技術官僚も、木偶の坊と紙一重どころか、ほんの隣りの並びというのが面白い。
実に皮肉でもなり、味わいがる。
広辞苑といえどもさすがの今の時代には、この解説ちは違和感あり、と見受けます。
高度〜〜な科学知識も専門知識も大事だけれど、そこに人間が関わる以上、大前提として「優れた倫理観、 節度ある公的使命感をもって、これらの社会的責任を果たせるだけの、力量を持てる『技能』の人々を… …指す」くらいの常識の前提が……。

携帯電話というハイテク・機器を扱う人間は、いま一人一人が個人レベルの『テクノクラート』です。
若い育児中のお母さん方、。気をつけて、気をつけて。あなたは、悪魔の誘惑に負けないで、いつも目の 前の坊やの行く先をしっかり見守ってくださいよ、と呼びかけずにいられない最近です。
ではまた。 古い人間タイプ=デクノボウより。

2016/7/20 ながた みほ

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