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長崎西高14回生同窓会トピックス

『花の青春』とらんぽりん9 

「花と銘酒」に たとえれば

運転中の方は、この話、今読まないでください、同じく十八歳未満の人も。
というほど物騒な話題ではありませんが、何しろ時節柄、ちょっとお酒の話から。

東京・上野公園あたりの実況報道で、酔っぱらいが「反応しませんッ」とお巡りさんに認定されるくらい出来上がっている。対してその酔漢氏、天晴れ、泰然自若、これぞ日本男児という光景でありました。それまで散々お巡りさんから各種警告をされた挙句、やっとこさっとこ引き起こされた彼氏、がばちょと反論。
「タイホでも、レンコウでもいいからァ、それより、水一杯くれーいッ」
お見事。実に堂々たるものです。これは酔漢氏の勝ち。日本桜前線、ただいま北上中。全国のお巡りさんもタイヘンです。

お酒なら売るほどある家。さる日本酒の老舗・醸造元の令夫人が、ある時にこう言われました。
『いい蔵元のお酒なら二級酒で十分です』 そこの商品が特別に高価というわけではありません。毎年営々と、季節々々を大切に心を込めての酒造り、多くに安心を届ける商品を創っておられるのみです。

西高。この一年前、母校での私たちの古稀記念同窓会で、校長先生によって、その在校生が前年全国の公立・私立の高校の偏差値で日本一であった、との、大変立派なニュースが知らされました。
これは、後に西高伝説の最たるものの一つとなるに間違いありませんが、まったく同慶の至りです。

しかし後から考えると、何かその時、学校と共に(私たちまで)急に、個から普遍の世界に引き入れられたような、これまでになく新たな社会への責任の重さが出てきたような、気を感じるようになるのです。
さぁどうする。
その慶事を我ら先輩組?かしこまって承り、ひたすら喜ぶものの、ただ同じ学校を先に卒業いたしましたの故をもって、その栄光に単純にあやかっていいものかなぁ。今頃急に「私たちはあなた達の先輩ですたい」の資格があるのかなぁ、年だけ先輩か?と面はゆく、等と、いちおう謙虚に懐疑的になったのです。

さてよ日本中には、言わずもがなたくさんの高校がある。そこには、たった今も昼夜をおかず学ぶ数多くの生徒があり、幾多のジャンルで互いに鎬(しのぎ)をけずって、共に活躍する。つまり日本中が世代の教室であるし、また同世代で、一足早くすでに社会に出て働く、数多くの青年方がある。 そんな中に、このように一般にもまた客観的にも、校長先生以下多くの先生方のよりよきご指導と、真面目で優れた資質の生徒方の努力によって、その学校が「いい学校」として認められるのは、何よりうれしいものです。しかし、ただそれだけの事なのだろうか、さらにそこから進んで(特に先輩陣営としては)それは広くどういうことを意味するのか、責任を感じて考えずにいられません。

そんなことを思っていたら、ふと先の「銘酒」のたとえに重なったというわけです。
校歌が謳う学舎の環境は、お酒造りならば、そこは蔵元の一つの樽の中と同じく、中で日々お酒の麹が上になり下になりして互いに成長し、春夏秋冬、いいお酒になるべく醸されていくのに、似ていると。
今も昔も、そしてこれからも、そこで若人の一人でも多くが・できるだけ質の良い・やれるだけ学問のしやすい空気に囲まれ・平等にお互いに切磋琢磨しあえる、そんな場であると。

日本が世界に誇る、お酒(醸造技術)と日本刀(鋳造技術)の文化。
そんな日本酒がいざ、ひとたび酒杯に注がれる……、実はそこからが味わいの真剣勝負(と思いますよ)。
もはや、その場ではいかなる名刺も肩書も等級も、自慢の役には立たない。それ自身の証明に負うしかない。それを口にする人が、何の説明もなく、またふだんお酒に強かろうが弱かろうが、通であろうがなかろうが、敢然として「あ、いいお酒だ」と雷に打たれるのかどうか。ふと、一口また二口目を呑み込む一瞬の時をとどめ、しばし手元の酒杯の中に揺らぐ、透明なその珠玉の露を見つめたくなる、かどうかでしょう。

このことでは、果然お酒類には弱い私でも、ある経験するところがあります。それによると、本当にいいお酒というものはまだ口にして一杯〜二杯にあって、既にもう随分さっきから酒盃を重ねていたかの如き気配に襲われます。つまり早くも何事かに満たされてくるのです。神世の昔につながる不思議な力の誘い。
すなわち天上天下、時にお巡りさんのお世話にならないでも、誠に至福の陶酔に至るのです。一年に一度くらいでも十分な極楽境がここにあると。

中国の『三国志』劇中には、大酒豪の豪傑・張飛が、戦場でいいお酒を入手して『好酒没見了』(ハォチュォメイチユゥェンラ)」と髭もじゃの顔を赤らめて喜ぶ光景があります。「これはいい酒ダー、こんないい酒は久しぶりだ」こんな銘酒には滅多にお目ににかかれない代物だというので、私の大好きな言葉です。
(ちなみに、久しぶりに知己に再会して挨拶する[ご無沙汰しておりました]とこの言葉は発音が似ており、使い方で落語のようになる…。酒が久の字に入れ代わる)だから大好き。

願わくば人も、どんな学校に入っても出ても、結果、そののちには逆境〜順境いずれもの幾多の試練に出会い、世にもまれ、苦しみ喜び、かつ立派に成長した「良い人間」だなぁと、そんな風に自他ともになりたいし、なってもらいたいなぁと、自律の園の若者には殊のほかの思いを寄せています。目立たなくてもいい。
「花ある人と見つけたり」と世に受け入れられる、そんな人々になってもらいたいなぁと。

それより、あのお巡りさんは、かの唯我独尊の紳士に、一杯のお水はさしのべられたのかな。花爛漫の春なれば、人ごとながら気になる、宴の下の風情です。

2013/4/8 ながた みほ

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