「白 雲」
黒松の林をいけば
松風は海をすいこむ
海風は松をすいこむ
いつのまに
小高く来ればこんなにも
清らかであったか わたしは
青空の蝉しぐれ
(詩・ながた みほ)
一枚の葉書が、はらりと、秋風より一足早く届けられたのが、一年前のこの頃でした。
今も、その頃も、まだ夏は真っ盛り。海岸の松の林をいけば、さぞかし海風に蕭々とした松籟が清々しそうな、しかし西高14回生の同窓会は、その五月(昨年中)に終わったばかりで、またすぐ海山の豊かな「ふるさと」に帰ろうというのも贅沢だ……などと、その葉書を拝見したことでした。
昨年1012年5月19日。母校にて私たちの「古稀の記念同窓会」を終えた際の幹事の方の挨拶で、これを機として、この後は一応(というか)、同期の同窓会は一区切りとなる(つまり終了ということ)というものでした。
その時の挨拶を思い合わせつつ、なるほど、私たち14回生は、昔から(と言っていいほど長い歳月)、幹事団の方々を中心に、周囲・関係の有志の方々にお世話になってきました。見える所・見えない時を問わず、限りなくその奉仕の心のお世話になりながら、幾度も「同窓会主催の諸行事」に嬉々として参加することができました。いつも、ひたすらその厚恩と芳志に甘えるばかりの私または私たちであります。
あらためて長年のその友情に、厚情に、心から御礼申し上げます。
本当にお世話になり、ありがとうございました。
……無理もない。すべての各回の卒業生が毎年順繰りに、母校を会場に〜各種の同窓会行事で校長先生を始め、各先生方やその在校生方に、準備その他でお世話をかけ続けていれば、大変なことになる。これは、さすがに、どこかで一区切り・二区切りの節目がなければならないのだった……、と思うと、一抹の寂しさと共にその幹事方の英断に納得もいくし、感謝の思いも深くなっていた次第でした。
と神妙に感じていたら、その、はらり一枚の葉書は「今度、14回同期生でホームページを立ち上げました」です。なんとまァ、行き止まりと聞く船着場に自分たちが乗ってきた渡し船が着いたら、またそこに素敵な新しい連絡船が、汽笛をぼーっと鳴らして私たちを待っていたようなものです。
人生の観光がまた仕切り直して、続けられるというニュースのようなお知らせです。
かの高度経済成長時代を青春のスタート時点で迎えて、以後、常に新しい時代の先端をいく世代であり、また時代の豊穣を享受してきた我等同期ならではの元気・企画でありましょうか。やる気が元気。当今なら珍しくもないかもしれない、ただのホームページを始めた、ではない、その前・半世紀の間でに確固とした同窓会の運営という歴史実績をもつ私たちです。だからここには「パソコンに強いだの弱いだの」という視点ではない、もっと別の高い意義があると、受け止めています。場合によっては、後の世代から続く同窓・後輩方への一つの励みになり、見本としての経験の蓄積として、生まれ成長するものかもしれません。『眸をあげよ、涯遠く』の精神によって受け渡し、受け継いでもらいたい、何かがあると感じます。
とにかく、届けられたこの新しい企画による、ご案内。
そこに至るまでの、その周到なる「運営委員会」幹事団の方々の準備は、見えない部分でいろいろ大変なご苦労であったと存じます。その時もそう思いました。ありがたいことです。
ここからは、それから先の私自身の個人的な体験の世界です。以後、丸一年、慣れないインターネット環境に毎日、七転び八起き、七転八倒(どう違うのかなぁ、この二つの言葉)艱難辛苦、四苦八苦、あちら叩けばこちらがどうもならないパソコン相手のホームページ投稿修行の始まりです。まったく失敗が全然成功の元にならない、連続七不思議。だってせっかくの努力の原稿が消えちゃうのだもん。行方知らずに。時間切れだとかもあるし。
もっとも悔しいからお断りすると、格別にメカに弱いのではありません。ただ方向音痴だから関連の脳が弱いのです。その方向音痴の脳の隣りに私のインターネット環境の判断用の脳があるので、ときどき不規則にも回線がショートするのでした。困ったものです。脳の修理のためだと、新しくもう一度生まれ変わってきても、また西高に入れるかどうか……わからないし。
こうしてインターネット環境に適用する面倒臭さはあったものの、しかしそれが良かった。
一般世間のホームページへの投稿なんかまるで興味をもたない私自身の日常から、このたびの機会…安心の連絡船が待つ船着場に来た心地です。同級同期なればこそ、ここでは安心して胸襟を開くことができると。以来、何やらかやら書かせてもらっています。
昔あった『ちんどん屋さん』(大好きでした。あれ日本の近代・古典芸能ですもん)みたいなことを調子づいて書いている寄稿ですが、今後ともどうぞご容赦ください。
みなさま、いつもありがとう。
もん)みたいなことを調子づいて書いている寄稿ですが、今後ともどうぞご容赦ください。